
電気・電子回路におけるオペアンプ回路 -種々の応用回路-
①はじめに
前回まで、電圧増幅回路を取り上げて、オペアンプ応用回路の基本を解説してきました。今回は、そのほかの応用回路を取り上げてみたいと思います。
②応用回路例
IV変換回路
通常の「アンプ」は、入出力ともに電圧ですが、IV変換回路は、電流入力・電圧出力のアンプです。トランスインピーダンスアンプとも呼ばれます。
典型的な用途は、フォトダイオード受光回路でしょう。以前に(第33回~第37回)詳しく解説していますので、参考になると思います。フォトダイオード以外にも、電流源と見なせるデバイスからの信号処理には、有用な回路です。
https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a262
シミュレーション
シミュレーションファイル「IV変換回路.asc」には、IV変換の基本回路を示しています。トランスインピーダンスゲインは、1MΩで、1μAの電流入力を1Vに変換しています。
VI変換回路
VI変換回路は、電圧入力・電流出力のアンプで、トランスコンダクタンスアンプと呼ばれますが、一般的には、電流出力アンプ、定電流駆動回路などの呼称が使われているようです。
LED、LD(レーザーダイオード)など、定電流駆動が望ましい用途では、必須です。ただし、用途によっては、オペアンプを使わなくても実現可能な回路です。第42回~第47回で、定電流回路、電流出力アンプを取り上げて解説していますので、参照してください。
https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a253
積分回路、微分回路
反転アンプの帰還抵抗をコンデンサに置き換えると、積分回路になります。入力電圧の時間積分値に比例した電圧出力が得られます。
反転アンプの入力抵抗をコンデンサに置き換えると、微分回路になります。入力電圧の時間微分値に比例した電圧出力が得られます。
シミュレーション
シミュレーションファイル「積分回路_微分回路.asc」には、積分回路と微分回路の原理回路が収めてあります。積分回路では、入力の矩形波を積分して三角波を出力しています。微分回路では、逆に、三角波を微分して矩形波を出力しています。
ログアンプ、アンチログアンプ
ダイオードの順方向電圧と順方向電流は、指数関数の関係となっています。これを応用したのがログアンプ、アンチログアンプです。
反転アンプの帰還抵抗をダイオードに置き換えると、ログアンプになります。入力電圧の対数値に比例した電圧出力が得られます。
反転アンプの入力抵抗をダイオードに置き換えると、アンチログアンプになります。入力電圧の指数関数値に比例した電圧出力が得られます。
シミュレーション
シミュレーションファイル「ログアンプ_アンチログアンプ.asc」には、ログアンプとアンチログアンプの原理回路が収めてあります。実用回路にするのは、大変ですが、幸いにも、IC化されたログアンプが供給されています。
理想ダイオード
オペアンプの出力にダイオードを挿入して、バッファを構成すると、理想ダイオードとして動作します。第61回、第62回において、ボトムクランプ回路に応用した例がありますので、それを参考にしてください。
https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a234
今回のまとめ
オペアンプ回路については、今回で一区切りとします。アクティブフィルタなど、取り上げるべき応用回路もありますが、それらについては、機会を改めたいと思います。次回からは、コンデンサをメインテーマとして、数回に分けて取り上げてみたいと思います。
今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。
当社が運営している、電子部品・半導体ECサイト『オリナス.ネットhttps://www.olinasnet.com』では、アナログ・デバイセズ製のオペアンプを在庫しております。各部品は小ロットからの販売はもちろん、不具合解析や環境調査も対応可能でございますので、ぜひ、こちらのサイトもご覧下さい。