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第61回:ボトムクランプ回路 -問題点検討-

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第61回:ボトムクランプ回路 -問題点検討-

前回のオペアンプを使ったボトムクランプ回路には、問題点があることを指摘しました。今回は、この問題点を検討してみます。この検討は、動作原理回路から実用回路に仕上げる過程の好例として、参考になると思います。

シミュレーションファイル「オペアンプを使ったボトムクランプ回路.asc」を参照してください。前回の回路と同じ、動作原理回路ですが、少し書き方を変えた回路も示してあります。このように書き換えると、オペアンプ回路周辺の様子が分かり易くなります。

この回路で気になる点が3つあります。第一の点は、オペアンプの出力に「巨大な」コンデンサが接続されていることです。第二の点は、ダイオードが非導通時には負帰還ループが切れて、オペアンプの出力が飽和することです。第三の点は、オペアンプの電源が5V単電源であることです。

以下、これらについて検討していきます。

1.オペアンプの出力にコンデンサ接続

第32回よもやま塾( https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a263 )で容量性負荷について取り上げましたが、この回路は「正に」容量性負荷を駆動しています。この回路の周波数特性を調べてみました。シミュレーションファイル「オペアンプ回路の周波数特性.asc」を参照してください。

このシミュレーション回路では、もっとも簡単な抵抗一本の対策としています。なお、左側の4回路は、安定しているように見えますが、これらは、単電源、かつ、0V入力であるためです。オペアンプは「働いて」いません

シミュレーションファイル「ボトムクランプ回路の周波数特性.asc」では、ボトムクランプ回路そのものの周波数特性を調べました。当然のことながら、抵抗による対策の有効性を確認できます。

これらの特性確認を踏まえて対策をした回路をシミュレーションファイル「ボトムクランプ回路_改善_1.asc」に収めてあります。出力波形のピーク部分の「デコボコ」が無くなって、動作が安定したことが見て取れます。

2.ダイオードが非導通時、オペアンプの出力が飽和

オペアンプによる理想ダイオード回路の出力飽和対策の一例をシミュレーションファイル「オペアンプ出力の飽和対策.asc」に示してあります。

対策なしの回路では、出力波形にアンダーシュートが見られますが、対策を施した回路では、より素直な応答となっています。一般的な話ですが、オペアンプは、過大入力などによる出力飽和から回復するためには、「けっこうな」時間を必要とします。なお、100pFのコンデンサ(C1)は、発振防止です。また、この回路では、第三の懸念であった単電源から、両電源としています。

上記の出力飽和対策をした回路は、シミュレーションファイル「ボトムクランプ回路_改善_2.asc」に収めてありますが、発振防止コンデンサは必要ありませんでした。0.1μFのコンデンサと330Ωの抵抗が出力に接続されたため、スナバ回路として働いたのではないか、と推測していますが、自信はありません。どなたか、究明してご教授ください。

さらなる改善の方法としては、オペアンプICをより適したものに変更することが考えられますが、要求仕様との兼ね合いもあり、あまりにも個別的な回路検討となるため、当塾の守備範囲には収まらないと思いますので、割愛させていただきます。なお、個別的な応用例についての「ご相談」には、可能な限りお応えします。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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