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第42回:定電流回路(1)

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第42回:定電流回路(1)

皆さんが、電気・電子回路の動作について考える際に、各部の「電圧」を主として考え、「電流」は二次的に考える、という傾向があるのではないでしょうか。例えば、単に「入出力レベル」といえば、「入出力電圧」と思うことが圧倒的に多いでしょう。ほとんどの場合には、電圧を中心に考えてもよいのですが、電流が主役となる回路も存在します。フォトダイオードの出力は光電流ですし、LED、LD(レーザーダイオード)の駆動条件は、電流値で規定されています。電流が主役とは言えない回路であっても、回路の一部に定電流回路を使うことで特性改善を図るなど、回路構成の幅が広がりますので、ぜひとも「馴染んで」ください。

トランジスタの出力(コレクタ、ドレイン)は、定電流特性を持つことはご存じのことと思います。まず、この特性をそのまま利用した定電流回路をシミュレーション回路に示してあります。

1.定電流回路_JFET

JFET(接合型FET)のIdss(Vgs=0V時のドレイン電流)をそのまま使った回路と、ソース抵抗を追加して電流値を小さくした回路、および、2回路を並列にして電流値を増大した回路を収めてあります。この回路を使うための最大のポイントは、手頃な電流値のJFETが入手可能かどうか、でしょう。さらに、個体差による電流値のバラツキ、温度変化によるドリフトを考慮する必要がありますが、なんといっても部品点数が少なく、2端子回路ですので、特性に対する要求が緩ければ、検討に値すると思います。

2.定電流回路_Tr

バイポーラトランジスタを使った定電流回路です。トランジスタ回路設計に馴染みのある方ならば、「電流帰還バイアス回路」そのものであることがお分かりになると思います。定数値の異なる回路とベースエミッタ間電圧の温度補償を追加した回路を収めてあります。温度補償なしの回路であっても、適切な定数値とすることで、JFETによる回路よりは。バラツキ、ドリフトが軽減されています。電流値は、ほぼ、抵抗の定数値で決まりますし、トランジスタ素子の種類も(まだまだ)多いので、設計の自由度が大きく、十分な実用性があると思います。

3.定電流回路_MOSFET

バイポーラトランジスタによるものと同様な回路です。実を言えば、この回路を使ったことがありませんので、バラツキ、ドリフトなどの細かい点について語る資格はないのですが、「バイポーラトランジスタほどではないにしても、まあまあ使える」のではないか、と推察しています。

4.定電流回路_3端子

3端子レギュレータICは、ディスクリート素子ではありませんが、トランジスタ並みの手軽さで使われていますので、これを使った定電流回路もここで取り上げておきます。IC内部に基準電圧源と負帰還を備えていますから、バラツキ、ドリフトは、ICの仕様内に収まりますので、安心といえば安心です。なお、このシミュレーション回路は「3端子の接続方法を示す」ことのみを目的にしたものです。実際に使う場合には、採用予定ICのデータシートを熟読し、適切な出力コンデンサの選定、保護回路の必要性の有無など、十分な検討と試作機による評価が必須です。

次回は、オペアンプとディスクリート素子(トランジスタ、MOSFET)を組み合わせた定電流回路を取り上げる予定です。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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