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第70回:誤差計算例集

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第70回:誤差計算例集

以前 第18回  https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a277

第19回  https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a276

「許容誤差」を取り上げ、誤差の見積もりについて解説しましたが、誤差計算の詳細は省略し、計算方針の概略と結果を示しただけでした。

この誤差計算について質問がありましたので、計算方法を応用しやすい形にまとめてみました。内容的には、多項式の1次近似計算ですので、「面白くない」ことは請け合えます。

1.加算(抵抗の直列接続、コンデンサの並列接続などの場合)

R=R1+R2、R1の誤差e1、R2の誤差e2、Rの誤差E、とする。

R(1+E)=R1(1+e1)+R2(1+e2)=R1+R1 e1+R2+R2 e2=(R1+R2)+(R1 e1+R2 e2)

両辺をRで割ると、

1+E=(R1+R2)/R+(R1 e1+R2 e2)/R=1+(R1/R)e1+(R2/R)e2

両辺から1を引いて、

E=(R1/R)e1+(R2/R)e2={R1/(R1+R2)}e1+{R2/(R1+R2)}e2

2.逆数(抵抗の並列接続、反転アンプのゲインなどの場合)

Rの誤差をe、1/Rの誤差をEとする。

(1/R)(1+E)=1/{R(1+e)}=(1/R){1/(1+e)}

両辺を(1/R)で割って、

1+E=1/(1+e)

右辺の分母、分子に(1-e)を掛けて、分母の誤差項を2次として、無視する

1+E=1/(1+e)=(1-e)/{(1+e)(1-e)}=(1-e)/(1-ee)≒(1-e)/(1-0)=1-e

両辺から1を引いて、

E≒-e

3.乗算(除算は、逆数の乗算として扱う)

R1の誤差e1、R2の誤差e2、R1R2の誤差E、とする。

R1R2(1+E)={R1(1+e1)}{R2(1+e2)}=R1R2(1+e1)(1+e2)

両辺をR1R2で割って、

1+E=(1+e1)(1+e2)

右辺を展開し、2次の誤差項を無視すると、

1+E=(1+e1)(1+e2)=1+e1+e2+e1e2≒1+e1+e2+0=1+e1+e2

両辺から1を引いて、

E≒e1+e2

上記の3つの式を公式のように使うことで、実際の誤差計算の見通しがよくなると思います。例として、反転アンプのゲイン誤差を計算してみます。

反転アンプのゲインG=RFB/RIN、Gの誤差E、RFBの誤差e1、RINの誤差e2、とします。

G(1+E)=RFB(1+e1)/RIN(1+e2)

逆数の式を使って、1/{RIN(1+e2)}=(1/RIN)(1-e2)を代入します。

G(1+E)≒RFB(1+e1)(1/RIN)(1-e2)

この式は、RFBと(1/RIN)の乗算ですので、

G(1+E)≒RFB(1/RIN)(1+e1-e2)=(RFB/RIN)(1+e1-e2)=G(1+e1-e2)

したがって、

E≒e1-e2

誤差は、抵抗ごとに独立に、±の値をとりますので、誤差見積においては、(e1-e2)と(e1+e2)は同等です。

免責

計算には万全を期しておりますが、ここに示した計算結果の利用に対しては、何らの保証もいたしません。必ず、ご自身で検算された上で、ご利用ください。

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