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第19回:続・許容誤差

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第19回:続・許容誤差

前回、クイズを出題しましたが、お解りになりましたでしょうか?正解は、「分圧回路の誤差についての記述に間違いがあり、分圧比=出力電圧/入力電圧として、分圧比=1では、抵抗に起因する分圧電圧の誤差は発生せず、分圧比が小さくなるにつれて、誤差は大きくなり、2本の抵抗の誤差の和に近づく」です。分圧比1/2の場合についての記述は間違いではありません。2本とも同じ許容誤差の抵抗ならばもとのままです。分圧回路の累積誤差について、正確に記述すれば、次のようになります。

許容誤差=eの2本の抵抗で構成される分圧回路のワーストケースでの誤差は、分圧比=出力電圧/入力電圧=Bとすると、2e(1-B)となる

前回でオペアンプのゲインについて述べた項目では、反転アンプしか取り上げませんでしたが、非反転アンプの場合には、分圧回路と同様な結果になります。分圧比は、R2/(R1+R2)ですが、非反転アンプのゲインは、

G=1+(R2/R1)=(R1+R2)/R1

ですから、分圧比の逆数の形になっています。結果、誤差は2e(G-1)/Gとなります。つまり、G=1では誤差は発生せず、ゲインが大きくなるにつれて、誤差も大きくなり、G=2でもとのまま、さらにゲインが大きくなると2倍の誤差に近づきます。

ゲイン2倍の非反転アンプは、ビデオラインドライバなど、よく見かける回路ですが、抵抗が2本であっても、ゲイン誤差は累積しません。もっとも、アンプゲインの絶対値が問題になるようなシステムは少ない、というよりも、アンプゲインの誤差があまり問題にならないようなシステム設計をすべきでしょう。

抵抗以外の部品定数についても、必要に応じて誤差の見積もりをすることがあるでしょうから、まず、一般的な規則をまとめてみましょう。加減算だけで合成される場合、言い換えると、単位(次元、ディメンジョン)が変わらない計算式で表されるならば、誤差は累積せず、もとの許容誤差のままです。抵抗の並列接続は、1/R=(1/R1)+(1/R2)と、抵抗の逆数の和で表されることに注目してください。乗除算によって、単位が変わる計算式で表されるならば、誤差は、各要素の誤差の和になります。ただし、分圧回路、非反転アンプなどのように、同じ変数が分母、分子の両方に現れる場合は、個別に計算しなければなりませんが、極限で、各要素の誤差の和になります・・・と予想します。上記の最後の部分については、一般的な証明をする数学力を持ち合わせていません。物理的な直感からの予想でしかありませんので、正しいことを保証できません。どなたか、ご教授ください。

いくつかの例を挙げてみます。コンデンサと抵抗で構成される、時定数回路、ローパス/ハイパスフィルタの遮断周波数は、C×Rの計算がありますので、コンデンサと抵抗、それぞれの誤差の和となります。5%の抵抗と10%のコンデンサであれば、最悪15%の誤差が生じます。LC共振回路の周波数はどうでしょうか?計算式にL×Cがあり、その誤差は累積しますが、平方根をとりますから、L×Cの累積誤差の半分になります。L、Cともに10%とすると、累積誤差は20%ではなく、その半分の10%です。

前回、電気・電子関係の許容誤差が他の分野に比べて「巨大」であると述べましたが、時間領域においては、「圧勝」しています。汎用の水晶発振子ですら、その誤差は100ppmほどです。時間分解能が高い、高速動作が可能、という電子回路の特長を考えれば、当然とも言えますが、さらに考察をするならば、基礎となる電磁気理論の基本定数に光速度が含まれているからである・・・物理的な考察も心がけるべき?少々、飛躍しすぎでしょうか。

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