
電気・電子回路におけるオペアンプ応用回路 -LC2次フィルタ-
①はじめに
比較的簡単なフィルタ回路とオペアンプ回路を出発点として、定性的な考察とシミュレーションによる検証を行って、LC2次フィルタを構成してみます。
②応用回路例
片終端LC2次フィルタ+非反転アンプ
非反転アンプは、入力インピーダンスが非常に高いため、前段の回路に影響を与えませんから、LCフィルタの特性がそのまま得られます。
シミュレーション
シミュレーションファイル「片終端LCフィルタ+非反転アンプ.asc」には、いくつかの回路例を収めてあります。遮断周波数fc=100KHzでの減衰量が-3dBの回路と-6dBの回路です。ここには示していませんが、非反転アンプにゲインを持たせることもできますし、その場合でも周波数応答は変わりません。
片終端LC2次フィルタ+反転アンプ
反転アンプの入力インピーダンスは、入力抵抗(ゲイン抵抗)に等しくなります。このため、非反転アンプとは異なり、前段の回路に影響を与えます。つまり、入力抵抗が前段の負荷となりますので、この点を考慮して、前段のLCフィルタを構成する必要があります。
片終端LCフィルタでは、出力端で終端するタイプとし、さらに、終端抵抗値が反転アンプの入力抵抗との並列合成抵抗値とならなければなりません。最も簡単な構成は、反転アンプの入力抵抗をそのままLCフィルタの終端抵抗とする(入力抵抗値を終端抵抗値とする)構成です。
シミュレーション
シミュレーションファイル「片終端LCフィルタ+反転アンプ.asc」には、いくつかの回路例を収めてあります。遮断周波数fc=100KHzでの減衰量が-3dBの回路と-6dBの回路です。ここには示していませんが、反転アンプにゲインを持たせることもできますし、その場合でも周波数応答は変わりません。
反転アンプの帰還抵抗に並列にコンデンサを接続し、1次ローパス特性を持たせる回路は、ご存じでしょう。この回路を定性的に考えてみます。
反転アンプのゲインGは、帰還抵抗RFBを入力抵抗RINで割った値のマイナスです。これを一般化して、帰還インピーダンスZFB、入力インピーダンスZINで考えると、G=-ZFB/ZINです。帰還抵抗とコンデンサの並列インピーダンスは、周波数が高くなれば、小さくなります。ZINは、入力抵抗のみですから、周波数によらず一定です。したがって、周波数が高くなれば、ゲインの絶対値は小さくなり、ローパス特性となります。
ここで、ZINを抵抗とインダクタの直列接続回路とすれば、ZINは、周波数が高くなれば、大きくなります。従って、ZINの変化も、ゲインを小さくする方向に働きます。
シミュレーション
シミュレーションファイル「RL+RC+反転アンプ.asc」を参照してください。RC1次、RL1次、「RL+RC」2次の回路を収めてあります。
LC2次フィルタ+差動アンプ
シミュレーション
シミュレーションファイル「LC2次フィルタ+差動アンプ.asc」を参照してください。これまでの考え方を差動アンプに応用した回路を構成してみました。回路動作の解説は省略しますが、容易に理解できると思いますので、検証してみてください。
今回のまとめ
今回の内容は、ローパスフィルタのみを対象としましたが、同じような考え方をすれば、ハイパスフィルタにも応用ができると思います。
LC2次フィルタ回路そのものについては、第81回~第83回を参照してください。
https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a214
https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a213
https://www.olinas.co.jp/media/knowledge/a212
また、次回のテーマは未定でございますが、取り上げて欲しいテーマがございましたら、ご連絡いただけましたら幸いに存じます。
今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、アナログ・デバイセズのサイトよりLTspiceをダウンロードしてご利用下さい。
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