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第5回:LC共振回路

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第5回:LC共振回路

振動現象、共振現象は、あらゆるところで見られる物理現象であることは、ご存知のことと思います。振り子、音、地震など、例をあげればきりがありません。

技術的観点からみると、「振動、共振現象の利用」という側面と、「その弊害の抑制」という側面があります。これは、各分野に共通する、主要な技術的課題のひとつと言えるのではないでしょうか。

特に「共振現象の弊害」は、しばしば、悲惨な結果をもたらします。建造物の自己共振周期が地震の周期に一致した場合には、大きな揺れを起こし、倒壊に至ることもあります。機械関係においても「共振が原因で破損した」という報告を目にすることは珍しいことではありません。ちなみに、地球の自己共振周期は1時間ほどらしいので、1時間周期で地球に衝撃が加わった場合は「地球最後の日」になるかもしれません。

さて、電気、電子関係においては、LC共振回路について考えなければなりません。「利用」ということでは、発振回路、フィルタなどが代表的ですが、これらについては別の機会に取り上げることにし、「弊害の抑制」について考えてみることにします。

「LC共振現象の弊害」については、皆さん、ご苦労されているのではないでしょうか。EMIなどのノイズ問題、あるいは、オーバーシュートなどの過渡的な高電圧も、高周波の振動、共振が起こっていることに原因があるわけです。回路図にはない寄生素子が犯人であることは、いうまでもありません。実装上の配慮は、当然、必要ですが、寄生要素をゼロにすることは不可能です。

LC共振回路の厳密な解析は、教科書などに譲りますが、コンデンサに蓄積される電荷のエネルギーとインダクタに流れる電流による磁気エネルギーの総和が変わらない、すなわち、共振回路にエネルギーが蓄積され、保存されることが本質的に重要です。

この振動を減衰させるには、「抵抗」にエネルギーを消費させる以外にありません。ダンピング抵抗と呼ばれることはご存知と思いますが、本来の回路動作に影響を与えることなく、十分な減衰を得るためには、どの部分にどんな値の抵抗を入れるか、設計者の腕の見せ所でもあります。

付属のシミュレーションファイルには、基本的な回路の振る舞いを「観測」するための例を収録してあります。初心者の方は、定数を変化させて、波形がどのように変わるかを試してみてください。

「LC共振現象の弊害」で、見落としがちな、しかし、大変重要なことに言及したいと思います。それは、オシロスコープのプローブです。一般的なプロープには、グランドリードがありますが、このリード線のインダクタンスが無視できない場合があることです。配線の寄生インダクタンスとの合計で数10~100nHくらいになると考えなければならないからです。入力容量+浮遊容量で10~20pFとすると、数10~数100MHzの共振周波数となります。高速で立ち上がる波形を観測しようとすると、リンギングが発生することになり、見当違いの対策をしてしまう恐れがあります。

オシロスコープによる波形観測は、回路技術者にとって極めて重要な手段です。同時に、正確な波形観測には、細心の注意が必要であることを意識しなければなりません。

今回取り上げましたシミュレーションファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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