1. HOME
  2. お役立ち情報
  3. 電子回路技術情報よもやま塾
  4. 第31回:リレー駆動回路

第31回:リレー駆動回路

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
第31回:リレー駆動回路

電子回路・電子機器は、その出力に何らかの負荷を接続し、適切に駆動することで、はじめて役に立つ機能を発揮します。適切な駆動能力を持つ出力回路の設計には、負荷の特性についての理解が不可欠です。負荷の種類には、抵抗性、誘導性、容量性、その他、が考えられますが、今回は、誘導性負荷としてよく知られている、電磁リレーを駆動する回路を取り上げてみました。

誘導性負荷には、リレー以外に、モーター、ソレノイドなどがありますが、多くはMOSFET、または、トランジスタによるスイッチング駆動ではないでしょうか。これらの誘導性負荷のスイッチング駆動には、共通の「大」問題がつきまとっています。電流遮断に伴う、サージ電圧の発生です。

電子技術者が常に悩まされている問題のひとつといえば、「スパイクノイズ」です。回路の誤動作、誤差の増加のみならず、過電圧の印加によって、部品の劣化・破損に至ることもありますので、事は重大です。

スパイクノイズの「代表」は、誘導性負荷のスイッチングによって発生するサージ電圧ですから、「サージ対策なし」の「垂れ流し」では世間が許してくれません。規制にはそれなりに意味があるわけですが、実際のところ、サージ電圧の抑制は、「はた迷惑」なノイズ発生を抑制するという目的以前に、駆動素子の保護のために必須です。

リレー駆動回路は、見た目は単純ですが、シミュレーションで調べてみると、かなりの内容を含んでいます。ぜひとも、定数を変化させて、回路各部の電流、電圧を観察してみてください。実は、私自身、初めてシミュレーションしたのですが、いくつかの発見をしました。以下に、シミュレーション回路について説明します。

1.リレー駆動回路.asc

MOSFETによる駆動回路とバイポーラトランジスタによる駆動回路を示しています。MOSFETのゲートに直列の100Ωの抵抗は、ドライブ回路の出力抵抗を想定したものです。原理的回路と、保護ダイオードを追加した、よく見かける実用回路です。

リレーの等価回路は、小型パワーリレーを想定しています。インダクタンスと抵抗は、某メーカーの資料をもとにして、妥当な値としていますが、寄生容量については、参考になる資料を見つけられませんでしたので、はっきりとした根拠はありません。「数100pF以上はありそうだ」という、個人的感覚から1000pFとしました。どなたか、ご存じの方はご教授ください。

なお、なにも保護のない回路で、このコンデンサの値を変化させると、それなりの面白さがあります。とくに小さくすると、MOSFETとバイポーラトランジスタの差がでてきます。

2.リレー駆動サージ対策.asc

ダイオードによる方法、CRの直列回路による方法、ツェナーダイオードによる方法の3種類の対策回路を示しています。ツェナーダイオードによる方法では、リンギングが発生することを発見したため、これをCRの直列で抑える回路も追加しました。ツェナーダイオードによる方法は、あちこちで紹介されているサージ対策ですが、リンギングについて触れている記述を見た記憶がありません。「紹介はしていても、使ったことはないのでは?」と邪推しています。

これらの対策には、副作用があります。リレーのOFF時間に遅延が発生します。リレーに流れる電流を見てください。サージ電圧を抑える効果が高いほど、リレーに流れる電流は、より長く「尾を引き」ます。OFFのタイミングが重要な場合には、注意が必要です。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

オリナスについて
もっと知りたい方はこちら

資料ダウンロードや製品・サービス内容に関するご質問やご不明な点などがありましたら、こちらよりお問い合わせください。

ご質問やお問い合わせはこちら

オリナスへのお問い合わせや、製品に関するご相談やご質問はこちらです。

お役立ち資料をダウンロード

オリナスの会社情報パンフレットや製品カタログのダウンロードはこちらです。

メルマガ登録