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第39回:DCサーボ

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第39回:DCサーボ

交流結合(AC結合)、あるいは、コンデンサ結合という用語は、ご存じでしょう。入力信号の直流成分を取り除き、交流成分のみを処理するための結合方法です。

一般的に、信号処理を考える際には、入力信号を直流成分と交流成分に分けて考察することが有益ですが、場合によっては、考察だけでなく、実際の回路上でも直流成分と交流成分を分けなければ処理できないことがあります。例えば、「直流成分2.5V、交流成分100mVppの信号の交流成分を10倍して1Vppに増幅したい」場合、直流結合(DC結合)のアンプで10倍すると、出力での直流成分は25Vになる筈ですから、出力は飽和してしまいます。このようなケースでは、交流結合にします。「コンデンサで切る」などと言い習わされている手法で、至極、普通のことです。

ここまでは、超初歩的な話ですが、この「コンデンサ」がなかなかの曲者で、「結合コンデンサ1個で済む」のですが、そのコンデンサは、入手不可能、あるいは、高価、巨大、といった問題になることが「まま」あります。しかし、ここで諦めているようではいけません、仕事になりませんから・・・。結合コンデンサを使わない交流結合、というより、直流結合で直流成分を除去する回路があります。直流に対してのみ負帰還を掛けることで、直流除去を実現する回路です。私は、この回路を「DCサーボ」と呼んでいますが、用語として正しいのかどうか、自信がありません。もし、間違いであれば、ご指摘をお願いします。

「DCサーボ」シミュレーション回路を見てください。この回路は、ゲイン100倍の反転アンプで、低域は1Hzを目安とした定数値としています。通常のコンデンサ結合の回路と全く同一の周波数特性となっていることを確認できます。DCサーボ回路は、部品点数は増えていますが、100μFの結合コンデンサに較べて1μFのコンデンサで構成されている点に注目してください。結合コンデンサに高品質フィルムコンデンサが要求されるような回路では、100μFのコンデンサは非現実的設計ではないでしょうか。

信号レベルに較べて直流成分が大きい場合、1段でゲインを稼ごうとすると、サーボアンプの出力が飽和してしまい、うまくいきません。このような場合には、直流除去と増幅の2段構成とする必要があります。

「DCサーボ_大きなオフセットの除去」シミュレーション回路に例示していますので、動作を確認してください。

「DCサーボ_応用_1」シミュレーション回路には、DCサーボ回路にダイオードを追加して、簡易ボトムクランプ回路を構成した例が示してあります。ボトムクランプをすると、パルス信号を扱う時、デューティー比によるボトムレベルの変化が起こらないため、ADCの入力レンジに収めるなどに有効です。

「DCサーボ_応用_2」シミュレーション回路には、直流成分はそのままで交流成分のみ100倍する回路を構成した例が示してあります。直流再生の一例です。

最後に、宿題を出しておきたいと思います。回答の義務はありませんので、気楽に考えてみてください。

問題

トランスを使った非安定化24V電源のリップル(Max1Vpp、100/120Hz)のみをマイコンのADCで取り込み、Vpp値を表示したい。精度はラフ(10%程度)でよい。ADCの入力レンジは0~5Vとし、5V単電源のレールtoレールオペアンプを使って回路構成せよ。

この宿題についての質問は大歓迎です。ご遠慮なくどうぞ。

解答は次回「よもやま塾」を乞うご期待。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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