
前回、24V電源のリップル検出を案件例として、交流成分検出の回路方式について検討してみましたが、今回は、各方式の回路例を示して解説します。回路の目標仕様の詳細は、前回の内容を参照してください。
1.リップル検出_AC結合
コンデンサ結合によって、リップル成分を取り出し、2.5Vを中心値とするようにシフトするだけの回路ですから、単電源で交流信号を扱う回路の典型的なものです。使っているオペアンプは、入出力レールtoレールのCMOSタイプです。同様なオペアンプは、低価格な汎用品として多くのメーカーから供給されています。反転タイプ、非反転タイプの両方の回路例を示してあります。ほとんど同じ回路特性ですが、私ならば、非反転タイプを採用します。その理由を述べるには、紙面が足りません。「曰く言い難し」的な「微妙な、細々とした」理由の積み重ねですので、割愛することをご容赦願います。なお、周波数特性は、余裕を持たせた定数値としています。実用設計としては、必要十分な帯域に制限すべきでしょう。低域については、セトリングタイムと誤差との兼ね合いも考慮しなければなりません。
2.リップル検出_DCサーボ
本案件では、DCサーボ方式にメリットはありませんが、回路構成の考え方の参考としてください。5V単電源の回路で、20V~30Vの入力を扱うために、1/10にしてから処理する回路となっています。回路特性は、「リップル検出_AC結合」と同じにしてあります。
3.リップル検出_DC結合_固定シフト
入力を1/10に分圧し、電圧シフトと3倍増幅する回路で、出力のリップル成分は0.3Vppです。入力のDC成分が20V~30Vまで変化してもリップル成分を含めて0V~5VのADC入力レンジに収まることが確認できます。左側の回路は、動作を理解しやすいように2段構成となっていますが、右側の回路は1段構成で同じ特性を実現できることを示したものです。オペアンプ回路に慣れていない方のために解説しますと、180KΩと20KΩの並列抵抗は18KΩですから、18KΩ+15KΩ=33KΩが合成入力抵抗となり、100 KΩ/33 KΩ=3倍のゲインになるわけです。
4.リップル検出_DC結合_可変シフト
出力のリップル成分を0.5Vppとして分解能を確保するため、ゲインを5とし、シフト電圧を2段階に切り替えて、入力レンジを拡大した回路です。マイコンからのコントロール信号で切り替えることを前提としています。シフト電圧の切り替えは、トランジスタスイッチによって、分圧抵抗に並列抵抗を追加するようにしただけの簡単な回路ですが、なかなか有用なものです。3段以上に拡張するなど、応用範囲は広いのではないでしょうか。もし、DAコンバータが使えるならば、シフト電圧をより細かく設定できますから、入力範囲の拡大、分解能の向上など、応用範囲がいっそう広がります。参考にしてください。
各回路の細かな点について、すべてを解説することはできませんので、疑問がある方は、ぜひ、質問をお寄せください。どのような質問も大歓迎です。
今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。