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第43回:定電流回路(2)

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第43回:定電流回路(2)

前回、ディスクリート素子で構成した定電流回路を中心に紹介しましたが、今回は、オペアンプを使った定電流回路を取り上げます。

昨今のオペアンプICは、半導体メーカーの努力により、性能向上、低価格化が著しく進んでいます。この結果、オペアンプIC、特に、汎用品と呼ばれるタイプは、「気軽に」使われているようですので、オペアンプを使った定電流回路も定番回路といった感覚ではないでしょうか。

1.定電流回路_オペアンプ+Tr

バイポーラトランジスタによる定電流回路にオペアンプを追加して特性改善を図った回路です。オペアンプは、誤差増幅アンプとして働き、電流検出抵抗(Rs1)の両端電圧(出力負荷電流に比例)を入力電圧と比較しています。ループゲインが大きいお蔭で、トランジスタのベース・エミッタ間電圧の影響はありませんが、エミッタ電流とコレクタ電流は、ベース電流分の差がありますので、電流増幅率の影響は残ります。

なお、負荷側の電源(V1)が小さい領域では、負荷に逆電流が流れます。コレクタに十分な電圧が印加されていないため、トランジスタとしてまともな働きができない状態にもかかわらず、オペアンプが「がんばって」しまい、ベース・コレクタ間のPN接合が順バイアスされて逆電流が流れるのですが、こんなことで「うろたえる」ことのないように願います。期待する動作を望むためには、必要な条件を満たさなければならないのは当然ですが、負荷側の電源電圧が条件を満たしていない状態なわけです。このようなことは、回路の起動時、あるいは、停止時に「よくあること」です。

2.定電流回路_オペアンプ+MOSFET

MOSFETとオペアンプによる定電流回路で、動作原理的には、バイポーラトランジスタによる回路と同じですが、ゲート電流が流れませんので、原理上は、負荷電流に誤差は生じませんし、負荷側の電源(V1)が小さい領域での逆電流も流れません。オペアンプの「がんばり」はあるものの、ゲート・ドレイン間は、絶縁されていますので、逆電流が流れることはできません。

3.定電流回路_オペアンプ

オペアンプ単体での定電流回路例です。本来ならば、この回路を基本として動作原理を考え、上記、2つの例は、オペアンプに出力バッファを追加した回路と理解するべきかもしれません。

なお、この回路は、そのままでは、実用性に疑問があります。負荷が「もろに」帰還ループ内にあるため、動作が不安定になりやすいと思われます。出力バッファを追加した1、2の回路ならば、不安定さは緩和されますが、それでも、不用意に扱うと発振することもありますし、過渡特性を良くすることには困難があります。

4.定電流回路_オペアンプ_2

この回路は、上記、1~3の回路とは動作原理が異なります。メインのオペアンプ(U1)は、誤差増幅アンプではなく、差動アンプに構成されています。つまり、負帰還ループは、帰還抵抗のみで閉じており、負荷とは分離されていますので、安定動作が期待できます。私自身、種々の異なる用途に採用し、問題なく動作した実績のある回路です。

最後の回路は、「電流出力アンプ」と呼ぶべき回路であり、大変面白い内容を持っていますので、次回以降に、詳しく解説していく予定です。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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