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第51回:RCフィルタ分割実験

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第51回:RCフィルタ分割実験

前回の解説の中で、オペアンプ回路での入力容量(と寄生容量)による影響、および、その対策を(結果のみ)簡単に示しましたが、アナログ回路に不慣れな初心者には、やや難解であったかもしれません。そこで今回は、この点についての補足として、抵抗分圧回路の周波数特性補正について解説します。

まず、反転アンプ、非反転アンプでの入力容量の影響とその対策を示したシミュレーションファイル「オペアンプ_入力容量補償.asc」を参照してください。前回では省略しましたが、対策の効果を確認できます。この中の右端の回路は、中央の回路の描き方を変えただけで、まったく同じ回路です。この様な描き方とすることで、オペアンプの帰還回路は、出力を抵抗分圧して反転入力に帰還させていることが分かり易いのではないでしょうか。動作の理解が困難な回路に出くわした場合、回路を書き換えてみると見通しがよくなることがあるものです。

オペアンプの帰還回路は、基本的には抵抗分圧回路ですので、次に、抵抗分圧回路そのもので、その特性を見てみましょう。シミュレーションファイル「抵抗分圧_f特補正.asc」を参照してください。

抵抗分圧回路の原理だけを考えると、周波数特性は現れませんが、現実の回路では、「必ず」寄生容量が存在しますので、何も考えずに抵抗分圧を使うと、ローパス特性を持つでしょう。パルス信号を入力すると、「なまって」しまいます。分圧回路の抵抗値が大きいほど「なまりかた」も顕著になります。

周波数特性をフラットにして、「なまり」をなくすためには、補償コンデンサCcompを追加します。その容量値は、以下のようになります。

Ccomp = CL ×(RdivB/RdivT)

このようにすると、複素インピーダンスで考えた時の分圧比が単なる実数になりますので、周波数特性はフラットになるわけです。なお、シミュレーション回路では、過補正の場合も示してあります。

補正コンデンサを追加した抵抗分圧回路では、抵抗値そのものは周波数特性に影響しないことに注目してください。入力部分で信号分圧をする場合など、高い抵抗値としたいことがありますが、周波数特性に関しては、補正コンデンサの追加で対応可能となります。

少し話はそれますが、トランジスタスイッチング回路でのスピードアップコンデンサという「技」をご存じでしょうか。この技など、純粋な抵抗とコンデンサではないものの、考え方としては、抵抗分圧回路の周波数補正コンデンサと似ています。

さて、「信号分圧、高抵抗」といえば、オシロスコープのプローブが思い浮かびます。一般的な10:1のパッシブプローブで10MΩですし、もちろん、周波数特性も優れています。そこで、このプローブをシミュレーションすることを試みました。シミュレーションファイル「10:1プローブ.asc」を参照してください。

プローブのケーブルとしては、以前に使った、50Ω同軸ケーブルを近似した回路を使いましたが、単純な補正コンデンサではダメでした。あれこれと、カットアンドトライして、それなりの特性に「つくろい」ましたが、全く不本意な結果となり、己の未熟さを痛感させられた次第です。

事ここに至っては、プローブを分解して回路を調べるべきでしょう。時間的制約のため、今回は断念せざるを得ませんが、必ず、プローブ分解調査の結果を報告します。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

まさみさんですね。 ともだち登録しました
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