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第53回:ユニバーサル基板

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第53回:ユニバーサル基板

電子機器の開発・設計において、最も重要な段階は何でしょうか。私は「試作」であると思います。実際に作って動作を確認するまでは、設計した回路は、ただの「仮説」に過ぎません。「仮説」は少し言い過ぎかもしれませんが、設計にミスがあれば、試作の結果に現れるものです・・・、厄介なことに、試作では発見できないミスもあります。

試作には、さまざまな「形態」があります。最終製品として使えるような基板を起こしての試作(というより、製品初版)から、部分的な回路ブロックを手組みで製作して動作を調べる、実験的な試作まで、多種多様な試作品が(人知れず)存在している、あるいは、作られつつある、に違いありません。

さて、手組みでの試作には、ユニバーサル基板が便利で、私も大変お世話になっています。極めてポピュラーなものですし、いろいろなタイプの基板が市販されていますので、お使いになったことがあると思います。

よく見かけるユニバーサル基板は、2.54mmピッチの片面基板でしょう。両面スルーホールもよく見かけますが、私が多用しているのは、両面で、部品面が網状のシールドパターンとなっているものです。これは、(私にとっては)使い勝手がよく、お勧めできますので、使い方のコツを伝授します。少々、独善的であることは、ご容赦ください。

部品面の網目パターンは、もちろん、グランドにします。「半」ベタグランドとなり、高域特性の安定が期待できますし、バイパスコンデンサのグランド側を最短で接続できます。私の経験では、10MHz程度の回路で、問題なく動作しました。若干の工夫をすれば、100MHzくらいまでは使えるのではないかと思っています。

グランドを分離したい場合には、網目をカットします。全面ベタパターンではありませんので、カッターナイフ(アートナイフ、彫刻刀)と少々の根気があれば十分です。比較的手軽に、グランド分離の効果を実験、実感できると思います。

半田面とグランドとの接続は、ジャンパ線(スズメッキ線、部品のリード線の切れ端など)を使い、穴を通して部品面側で折り曲げ、網目パターンに直に半田付けして行います。どこの半田面パターンからでも最短でグランドに接続できますので、電源パイパスコンデンサにチップコンデンサを使えば、手組みの試作としては、理想的な実装となります。

ここからは、ユニバーサル基板を使う試作での共通の注意点などを思いつくままに述べてみます。

抵抗、コンデンサなどの部品は、チップ部品とリード部品を使い分ける。どちらかに統一したい、という「美意識」をお持ちの方も「実利」優先で考えてください。2.54mmピッチの半田面ランドの場合、2012、1608サイズのチップ部品がぴったり使えます。

製作の前に、机上(もしくは、パソコン上)で部品配置、配線パターンを決める。いきなり半田ゴテを握って、成り行きで部品を取り付けてはいけません。配線が困難になったり、誤配線をやらかしたりします。ユニバーサル基板での部品配置、配線パターンの検討は、プリント基板のパターン設計のよい訓練になります。手組み試作であっても、きちんと取り組むことが、パターン設計の腕を磨くことになります。

綺麗に作る。「動きさえすれば見た目などどうでもよい」は「間違い」です。試作の目的である動作確認、検討の作業効率に差がでます。「あれこれと、カットアンドトライなどをしていたら、動作しなくなった」経験はありませんか。実験的試作の場合など、時には、禁断の荒業(チップ部品の多段重ねなど)を駆使しなければならないこともありますが、綺麗に、丁寧に作ることを「強く推奨」します。

ところで、手組み試作に関しては、各人それぞれに「秘技」をお持ちなのではないでしょうか。もし、公開しても差し支えがない「秘技」をお持ちの方は、ぜひともお知らせください。試作技術向上の一助になると思います。

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