
よく使われる、基本的なオペアンプ回路といえば、反転/非反転アンプでしょう。オペアンプICと抵抗で簡単に構成することができ、コンデンサを追加して周波数特性を持たせることもできます。これらのアンプ回路は、通常動作範囲では、入力と出力の関係が「線形(リニア)」な回路です。ダイオードは、もっとも単純な半導体素子ですが、「非線形(ノンリニア)」な素子です。したがって、オペアンプとダイオードを組み合わせれば、種々の有用な非線形機能を実現することができます。いくつか例を挙げれば、整流、リミッタ、ピークホールド、ログアンプなどでしょうか。(ログアンプの実用回路では、トランジスタが使われますが、原理的にはダイオードの特性を応用したものです)
今回は、少し趣を変えて、回路の紹介や解説ではなく、「発見的実験」をしてみたいと思います。具体的には、オペアンプ回路にダイオードを「機械的に」追加した回路を構成し、シミュレーションで動作を観察します。元となる回路は、ゲイン-1の反転アンプとゲイン2の非反転アンプで、ダイオードは一本とします。「機械的」とはいっても、ダイオードの順方向電流経路が存在する回路に限定しました。
用意したシミュレーションファイルの内容を以下に示します。
1.抵抗をダイオードに置き換え
「オペアンプ+ダイオード_反転_1.asc」は、反転アンプの入力抵抗をダイオードに置き換えた回路、および、帰還抵抗をダイオードで置き換えた回路です。
「オペアンプ+ダイオード_非反転_1.asc」は、非反転アンプのゲイン設定抵抗をダイオードに置き換えた回路、および、帰還抵抗をダイオードで置き換えた回路です。
2.抵抗にダイオードを直列に追加
「オペアンプ+ダイオード_反転_2.asc」は、反転アンプの入力抵抗にダイオードを直列に追加した回路、および、帰還抵抗にダイオードを直列に追加した回路です。
「オペアンプ+ダイオード_非反転_2.asc」は、非反転アンプのゲイン設定抵抗にダイオードを直列に追加した回路、および、帰還抵抗にダイオードを直列に追加した回路です。
3.抵抗にダイオードを並列に追加
「オペアンプ+ダイオード_反転_3.asc」は、反転アンプの入力抵抗にダイオードを並列に追加した回路、および、帰還抵抗にダイオードを並列に追加した回路です。
「オペアンプ+ダイオード_非反転_3.asc」は、非反転アンプのゲイン設定抵抗にダイオードを並列に追加した回路、および、帰還抵抗にダイオードを並列に追加した回路です。
4.オペアンプ出力にダイオードを追加
「オペアンプ+ダイオード_反転_4.asc」は、反転アンプのオペアンプ出力にダイオードを追加した回路です。
「オペアンプ+ダイオード_非反転_4.asc」は、非反転アンプのオペアンプ出力にダイオードを追加した回路です。
シミュレーションを実行する前に、回路動作を考えて、結果を予想してみてください。恥ずかしながら、私は、一つ、予想を外してしまいました。塾頭失格(?)です。
さて、今回の回路については、あくまでも、何かを「発見」することが目的ですので、「どのように応用するか」などの解説はしません。ただし、質問は大歓迎です。私の力量の範囲でお答えします。
今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。