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第64回:DC/DC初心者向け設計法の提案(3)

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第64回:DC/DC初心者向け設計法の提案(3)

前回までに、DC/DCコンバータ回路の参考回路をアレンジして、設計の出発点となる回路を得るために、インダクタ値の決め方として、「インダクタ電流のリップル電流比率(=リップル電流/平均電流)を参考回路と同等にする」ことを提案し、シミュレーション回路を示しました。

これまでは、降圧DC/DCコンバータ回路の変更例を取り上げましたが、今回は、入力5V、出力12V、0.4Aの昇圧DC/DCコンバータ回路を参考回路として、いくつかの変更例を示します。参考回路は、シミュレーションファイル「昇圧DC/DCテスト_5Vin12V0.4A.asc」を参照してください。回路の定数は、スイッチング周波数=700KHz、インダクタ=10μH、出力コンデンサ=22μFです。

【変更例1】入力5V出力12V 0.4Aから、出力電流のみ0.2Aに変更

シミュレーションファイル「昇圧DC/DCテスト_5Vin12V0.2A.asc」を参照してください。インダクタ電流を調べる手順は、降圧DC/DCコンバータ回路の場合と同じです。出力12Vで0.2Aになるように、負荷抵抗RLを60Ωとし、スイッチON時間を手動調整して、出力電圧を12Vにします。シミュレーションファイルには、参考回路、参考回路と同じインダクタ値で出力電流を0.2Aとした回路、インダクタ値を22μHとした回路を収めてあります。

参考回路と同じ10μHのままでは、平均インダクタ電流は1/2になりますが、インダクタリップル電流は変わりませんので、リップル電流比率は2倍となってしまいます。インダクタ値は、22μHとすることが妥当のようです。

出力電流のみを変更する場合は、降圧DC/DCコンバータ回路と同様に、インダクタ値を出力電流に反比例させれば、同じリップル電流比率とすることができます。

【変更例2】入力5V出力12V 0.4Aから、出力電圧のみ8Vに変更

シミュレーションファイル「昇圧DC/DCテスト_5Vin8V0.4A.asc」を参照してください。出力8V0.4Aとするため、負荷抵抗RLは、8V/0.4A=20Ωにします。出力電圧が8Vになるよう、スイッチON時間を手動調整します。シミュレーションファイルには、参考回路、参考回路と同じ定数で出力を8Vとした回路、インダクタ値を15μHに変更した回路を収めてあります。

【変更例3】入力5V出力12V 0.4Aから、入力電圧のみ8Vに変更

シミュレーションファイル「昇圧DC/DCテスト_8Vin12V0.4A.asc」を参照してください。入力電圧を8Vとし、出力は12V0.4Aのままですから、負荷抵抗RLは、参考回路と同じ30Ωです。出力電圧が12Vになるよう、スイッチON時間を手動調整します。シミュレーションファイルには、参考回路、参考回路と同じ定数で入力を8Vとした回路、インダクタ値を22μHに変更した回路を収めてあります。

スイッチング周波数の変更

スイッチング周波数を変更する場合、インダクタ値をスイッチング周波数に反比例するように変更します。こうすることで、参考回路と同じリップル電流比率になります。この方法は、降圧DC/DCコンバータ回路、昇圧DC/DCコンバータ回路ともに同じです。シミュレーション回路は示しませんが、ぜひとも、ご自分で確認してみてください。

「DC/DC初心者向け設計法の提案」は、今回で一段落としますが、新たな「初心者向けの方法」を発見できた時は、随時、報告したいと思います。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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