
①測定経験は若手技術者にとっては大変重要!
電気・電子回路に関わる技術者であれば、何らかの測定と無縁ではあり得ません。実機の回路動作を調べるには、電圧、電流などを測定するしかありません。
当たり前すぎて、お叱りを受けそうですが、「測定」および「測定値の評価」には、それなりの・・・、否、かなりの技術力が求められます。個人的な見解ですが、技術者の技量向上には、測定の経験を積むことが必須ではないかと思います。
私には、測定技術全般について解説するほどの力量はありませんので、ここでは、初心者に実践して欲しい「測定の心得」らしきものを、思いつくままに挙げてみます。
②測定の目的・条件項目を明確にすべし!
まず、測定の目的、測定条件、測定項目が明確で、測定手段が妥当でなければなりません。さらりと、抽象的な一文にまとめてしまいましたが、具体的な内容は、個別の装置・回路ごとに、千差万別でしょう。
また、初心者にとって、個々の測定の意味などについて、十分に理解することが困難な場合もあるかもしれません。そのときは、新たな課題・目標と捉えて、理解できるように精進してください。
測定のために必要な、電源、測定器、負荷などを接続します。これを「ナメ」ては、いけません。故障・動作不良などの原因の多くは、「接続の不具合がらみ」です。かく言う私も、何度も「やらかして」います。
測定対象物が電源を必要とする装置・回路ならば、電源を投入しても「大丈夫」か、チェックをします。特に、測定対象物に初めて「火を入れる」のであれば、念入りに行います。必要なチェック項目については、個別の装置・回路ごとに判断することになります。
【注釈】「火を入れる」とは、「電源を投入して動作を開始させること」で、かなり古い表現です。
③電源投入順序に注意せよ!
測定器、測定対象物に電源を投入し、動作させます。ここで、「電源の投入順序」に注意しなければならないかもしれません。「測定器など周辺機器を立ち上げてから、測定対象物に電源を投入する」と何かで見た記憶があるのですが、とても一般的な正解手順とは考えられません。やはり、個別に検討するしかありませんが、具体的な例を示されたとしても、確信を持って答えられる自信はありません。
話が前後しますが、電源投入前に接続すると問題を起こす可能性もありそうです。難儀なことですが、少し冷静に考えてみれば、接続、および、電源投入の順序問題は、測定時に限ったことではなく、普遍的な難問かもしれません。
④最初にすべき測定は電源電圧の測定です
接続、電源投入が無事に(?)完了して、いよいよ測定を実施することになりますが、最初にすべきなのは、電源電圧の測定です。これは、接続と電源投入の確認になります。これも「ナメ」ては、いけません。
⑤回路各部の電圧波形をオシロスコープで見るべし!
回路によっては、電源が印可されていなくても、出力が出てくることがあったりします。もちろん、測定値は無意味ですし、動作不良と早合点して、狼狽えることになります。かく言う私も、何度か「やらかして」います。
測定に際して、是非とも実践して欲しいことがあります。それは、回路各部の電圧波形をオシロスコープで見ることです。直流電圧を測定する場合、電圧計(デジタルマルチメーター)を使うと思いますが、それだけでは、ノイズや異常発振などがあっても見逃す恐れがあります。
かく言う私は、少なくとも一度「やらかして」います。オペアンプの出力オフセット電圧が予想以上に大きく、的外れな対策を繰り返した挙句、不良品に違いないと思いましたが、原因は、オペアンプの発振でした。
⑥出来るだけ測定条件を記録せよ!
最後に、測定値だけでなく、可能な限り詳細な測定条件を記録します。後日、同じ測定をして、結果を再現できることが理想ですが、「再現」の判定など、意外と悩ましいものです。
さらに、何か気が付いたことがあれば、記録しておきましょう。些細なことであっても、大発見に至るキッカケになるかもしれません。
測定に限ったことではありませんが、安全には十分留意してください。高電圧回路はなくても、身近にAC100Vがあると思います。かく言う私は、幸いにも、重大事故に遭遇していません。
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