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第84回:電気・電子回路におけるトランジスタ回路の基礎 -エミッタ接地回路(1)-

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第84回:電気・電子回路におけるトランジスタ回路の基礎 -エミッタ接地回路(1)-

電気・電子回路におけるトランジスタ回路の基礎 -エミッタ接地回路(1)-

①はじめに

現代の電子回路において、トランジスタは、主役といってよいでしょう。そこで、今回から数回にわたって、主として初心者向けに、トランジスタ回路を取り上げますが、教科書の代わりになるような内容ではありません。シミュレーションを使った「補助的な参考教材」程度と、お考えください。

②トランジスタ回路におけるエミッタ接地回路

今回は、バイポーラトランジスタのエミッタ接地回路を調べてみます。エミッタを共通端(接地)とし、ベースを入力、コレクタを出力とする回路です。

シミュレーション (基本入出力特性)

シミュレーションファイル「エミッタ接地_基本入出力特性.asc」を参照してください。バイポーラトランジスタの基本動作は、「ベース電流を流すと、電流増幅率(hFE)倍のコレクタ電流が流れる」ですが、これをそのまま、シミュレーションで確認する回路です。トランジスタは、汎用小信号タイプで、一般的なものです。比較のため、仕様が少し異なる2種のトランジスタを使っています。

ベース電流(Ib)は、10msで10mA変化させる設定にしていますので、グラフの横軸(時間軸)の数値がそのままベース電流値として読み替えられます。コレクタ電圧が5Vの回路と1Vの回路を収めています。

※LTspice内での操作方法

コレクタ電流を表示させるには、回路図上で、トランジスタのコレクタ端子部分にカーソルを合わせると、矢印から電流プローブの形に変わります。この状態でクリックすれば、コレクタ電流が表示されます。

Q1のコレクタ電流を見てください。ベース電流にほぼ比例していますが、完全な直線ではありません。つまり、hFEは一定ではないことを示しています。Q2~Q4のコレクタ電流も同じ傾向です。

Q1とQ3のコレクタ電流を比較してください。コレクタ電圧は、5Vと1Vで異なっていますが、コレクタ電流の変化は、ほとんど同じです。Q2とQ4のコレクタ電流もほぼ同じです。これは、近似的に「コレクタ電流は、ベース電流のみで決まり、コレクタ電圧に影響されない。つまり、定電流性がある。」ことを示しています。

シミュレーション (コレクタ負荷抵抗)

シミュレーションファイル「エミッタ接地_コレクタ負荷抵抗.asc」を参照してください。トランジスタ応用回路では、目的に応じて、種々の負荷をコレクタに接続します。回路の出力段であれば、LED、リレー、モーターなどです。増幅などの信号処理では、抵抗を負荷として接続し、電圧を出力する回路が一般的です。このシミュレーション回路は、コレクタ電圧5V、負荷抵抗を100Ωと200Ωとした回路で、ベース電流による出力電圧の変化を見ることができます。

シミュレーション (ベース抵抗)

シミュレーションファイル「エミッタ接地_ベース抵抗.asc」を参照してください。

これまでの回路では、電流源を入力源として、直接ベース電流としていましたが、より一般的な電圧入力の回路とするために、ベースに直列に抵抗を接続して、抵抗を介して電圧源からベースに入力します。このシミュレーション回路は、コレクタ電圧5V、負荷抵抗を100Ωと200Ω、ベース抵抗を10KΩと20KΩとした回路で、入力電圧による出力電圧の変化を見ることができます。

入力電圧(Vin1~Vin8)は、10msで10V変化させる設定にしていますので、「ms」を「V」に読み替えれば、グラフの横軸(時間軸)の数値がそのまま入力電圧として読み替えられます。

今回のまとめ

コレクタ負荷抵抗とベース抵抗を接続した回路は、エミッタ接地回路の原理的回路と思います。次回、この回路を出発点として、いくつかの応用回路について調べてみたいと思います。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

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