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第93回:電気・電子回路におけるオペアンプ回路 -入力特性-

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第93回:電気・電子回路におけるオペアンプ回路 -入力特性-

電気・電子回路におけるオペアンプ回路 -入力特性-

①はじめに

オペアンプICの入力特性は、理想的な無限大のインピーダンスではなく、微少な電流が流れます。また、反転入力と非反転入力との特性にアンバランスもあります。今回は、これらの入力特性による影響を解説します。

②入力特性について

入力オフセット電圧

理想的には、非反転入力と反転入力が同電位であれば、出力は0Vとなる筈ですが、現実のオペアンプICでは、出力が生じてしまいます。オペアンプICのデータシートに記載されている、入力オフセット電圧は、この特性を示しています。この値は、入力に等価的に電圧源があるものとして定義されています。従って、負帰還アンプとして構成した回路では、入力オフセット電圧のゲイン倍の出力電圧が生じます。

シミュレーション

シミュレーションファイル「入力オフセット電圧.asc」を参照してください。ゲイン10倍、100倍の非反転アンプで、1mVの入力オフセット電圧がある場合の様子を等価的に示しています。

入力バイアス電流

一般的なオペアンプICの入力段は、差動アンプとなっていますが、バイポーラトランジスタで構成されているならば、動作の為に、バイアス電流を流す必要があります。FETの場合は、バイアス電流は不要ですが、極めて微少ではありますが、リーク電流が流れます。FET入力の場合も、データシートには「入力バイアス電流」として記載されています。

多くのオペアンプ回路では、オペアンプICの入力に、いくつかの抵抗を接続しますが、入力バイアス電流は、これらの抵抗を流れますので、電圧降下によって、入力にオフセット電圧が発生します。その電圧値は、(入力端から見た合成抵抗値)×(入力バイアス電流)となります。

シミュレーション

シミュレーションファイル「入力バイアス電流_入力オフセット電流.asc」を参照してください。入力バイアス電流が1μA流れだす場合(入力段がPNPトランジスタであると想定)、同じゲイン10倍の非反転アンプで、異なる抵抗値の回路を収めてあります。

左側の回路は、入力バイアス電流の影響で、Vout=1μA×(RGとRFBの並列合成抵抗値)×10となっていることが確認できます。

中央の回路は、非反転入力側も同じ抵抗値となるようにして、入力バイアス電流の影響をキャンセルした回路です。ただし、このキャンセル回路は、FET入力タイプや、IC内部でバイアス電流補償をしているデバイスなど、入力バイアス電流の方向、電流値が一定しない場合には無効です。右側の回路は、次項の入力オフセット電流の影響を示した回路です。

入力オフセット電流

前項の入力バイアス電流には、非反転入力と反転入力との間にアンバランスがあります。このアンバランス電流値が入力オフセット電流です。シミュレーション回路では、1μAと1.1μAのバイアス電流として、入力オフセット電流0.1μAとしています。どちらの入力側のバイアス電流が多いか、少ないか、不定ですから、キャンセルはできません。

今回のまとめ

実際の回路検討では、上記の要因による、入力でのオフセットをすべて加えて評価します。ワーストケースでは、全てが同じ極性になり得ます。さらに、温度ドリフトを考える必要がありますが、ここでは、割愛させていただきます。

次回は、オペアンプICの出力特性について、調べてみたいと思います。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。

当社が運営している、電子部品・半導体ECサイト『オリナス.ネットhttps://www.olinasnet.com』では、アナログ・デバイセズ製のオペアンプを在庫しております。各部品は小ロットからの販売はもちろん、不具合解析や環境調査も対応可能でございますので、ぜひ、こちらのサイトもご覧下さい。

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