
電気・電子回路におけるオペアンプ回路 -種々の応用回路-
①はじめに
前回の最後に示唆しましたが、反転加算アンプと非反転加算アンプの考え方を組み合わせれば、差動アンプが得られます。基本的な差動アンプは、オペアンプ1つと抵抗4本で構成され、3入力と1出力を持つ、非常に対称性の高い回路です。
②差動アンプについて
基本回路
シミュレーション
よく知られた回路ですので、詳しい解説は割愛しますが、基本的な回路例をシミュレーションファイル「差動アンプ.asc」に収めてあります。この差動アンプのゲインGは、G=R2/R1=100KΩ/10KΩ=10となっています。
入出力関係式は、
Vout=(Vin+-Vin-)×G+Vref
となります。
反転アンプにローパス特性を持たせるには、帰還抵抗に並列にコンデンサを追加しますが、差動アンプの場合は、非反転側にも対照的に同じ値のコンデンサを接続しなければなりません。
シミュレーション
シミュレーションファイル「差動アンプ_ローパス特性.asc」を参照してください。ゲイン1倍の差動アンプに遮断周波数10KHzのローパス特性を持たせた回路です。非反転側のコンデンサがない回路も収めてありますので、特性の違いを確認してください。
ハイパス特性を実現する場合には、反転、非反転入力に同じ値のコンデンサを挿入すればよいのですが、シミュレーション回路は省略します。簡単な修正で済みますので、ご自身で確認してみてください。
インスツルメンテーションアンプ(計装アンプ)
オペアンプ1個を使った、基本的な差動アンプの入力インピーダンスは、入力抵抗値で決まってしまいますが、入力に非反転アンプを追加すれば、高入力インピーダンスの差動アンプが構成できます。
シミュレーション
シミュレーションファイル「インスツルメンテーションアンプ.asc」を参照してください。3つのオペアンプで構成されたインスツルメンテーションアンプ(計装アンプ)を収めてあります。比較的よく知られている回路ですので、見かけたことがあるのではないかと思います。ゲインは、入力段は3倍、差動アンプ段は1倍としています。
この回路は、オペアンプ1つの差動アンプの前段として、単純な非反転アンプではなく、2つの非反転アンプを組み合わせた構成となっています。
この回路は1本の抵抗(R2)で差動信号に対するゲインを設定できます。しかも、コモン電圧に対しては、ゲイン1のままです。単純な非反転アンプでゲインを持たせると、コモン電圧も増幅してしまいますから、優れた回路と言ってよいでしょう。シミュレーションで確認してみてください。
インスツルメンテーションアンプ(計装アンプ)には、2つのオペアンプで構成されたものもありますが、多くの参考書籍等に取り上げられているようですので、それらを参照してください。
今回のまとめ
次回は、オペアンプ回路シリーズの最後として、IV変換など、これまでに取り上げたオペアンプ回路を改めてまとめてみたいと思います。
今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、リニアテクノロジーのサイトよりLTspiceIVをダウンロードしてご利用下さい。
当社が運営している、電子部品・半導体ECサイト『オリナス.ネットhttps://www.olinasnet.com』では、アナログ・デバイセズ製のオペアンプを在庫しております。各部品は小ロットからの販売はもちろん、不具合解析や環境調査も対応可能でございますので、ぜひ、こちらのサイトもご覧下さい。