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第104回:電気・電子回路におけるオペアンプ応用回路 -移相回路-

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第104回:電気・電子回路におけるオペアンプ応用回路 -移相回路-

電気・電子回路におけるオペアンプ応用回路 -移相回路-

①はじめに

今回は、移相回路について、動作の仕組みを解説してみようと思います。

②移相回路について

信号出力回路

シミュレーション

シミュレーションファイル「移相回路.asc」を参照してください。オペアンプは、理想オペアンプを使っています。入力信号は振幅1V、周波数1KHzの正弦波です。動作の「カギ」となるRC回路の遮断周波数fc=1KHzとしています。

Vout_A、Vout_Bともに位相が90度ずれていますが、振幅は入力と同じ1Vのままです。 AC解析モードにして周波数特性を調べてみてください。ゲインは周波数によらず0dB(1倍)で一定で、位相のみが変化する特性が確認できます。

シミュレーション

シミュレーションファイル「移相回路_連続可変デモ.asc」では、RC回路のfcを変化させており、振幅一定で位相のみが変わる様子がよくわかります。(抵抗値を{VR}とし、8KΩから24KΩまで2KΩステップで変化させています。)

さて、元の回路全体を眺めていても、動作が見通せませんので、RC回路とオペアンプ回路に分けて考えてみます。

シミュレーション

シミュレーションファイル「移相回路_オペアンプ部.asc」を参照してください。Vin-入力からの入出力特性はゲイン=-1の反転アンプ、Vin+入力からの入出力特性はゲイン=2の非反転アンプですから、Vout=(Vin+×2)-(Vin-)となります。

移相回路の回路構成を見ると、オペアンプ回路のVin-には、信号入力Vinがそのまま加えられ、Vin+には、RC回路を通した信号が入力されています。

シミュレーション

シミュレーションファイル「移相回路の動作原理.asc」を参照してください。上記の信号演算を電圧制御電圧源を使って実現した回路で、移相回路の特性が再現されていることを確認できます。

入出力関係式を見てみましょう。RC回路の出力をローパスフィルタ型の場合はV_LP、ハイパスフィルタ型の場合はV_HPとすると、以下のようになります。

Vout_A=V_LP×2-Vin=V_LP -(Vin-V_LP)

Vout_B=V_HP×2-Vin=V_HP -(Vin-V_HP)

RC回路の出力の演算が出てきましたので、これを調べてみましょう。

シミュレーション

シミュレーションファイル「RC_LP_HP_出力の加減算.asc」を参照してください。

V_LP+V_HPに注目してください。この特性は全くのフラットですから、出力は、Vinそのものになります。従って、V_LP+V_HP=Vinとなり、この式から、Vin-V_LP=V_HP、Vin-V_HP=V_LPの関係式が得られます。この関係は、シミュレーションで直接確認することができます。

この関係式を移相回路の式に適用すると、

Vout_A=V_LP×2-Vin=V_LP -(Vin-V_LP)=V_LP-V_HP

Vout_B=V_HP×2-Vin=V_HP -(Vin-V_HP)=V_HP-V_LP

となります。

今回のまとめ

移相回路の本質は、V_LP-V_HP(または、V_HP-V_LP)をアナログ演算して出力する回路であることです。しかも、オペアンプ、および、RC回路は、ともに1つで済みますから、巧妙な回路構成と言えます。恐らく、これ以上、簡略にはできないと思われます。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、アナログ・デバイセズのサイトよりLTspiceをダウンロードしてご利用下さい。

当社が運営している、電子部品・半導体ECサイト『オリナス.ネットhttps://www.olinasnet.com』では、アナログ・デバイセズ製のオペアンプを在庫しております。各部品は小ロットからの販売はもちろん、不具合解析や環境調査も対応可能でございますので、ぜひ、こちらのサイトもご覧下さい。

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