
電気・電子回路における設計時の経験談 -1GΩの抵抗-
①はじめに
電気・電子関係の部品は多種多様ですが、最もポピュラーなものは、抵抗器でしょう。一口に抵抗器といっても、入手可能な抵抗値は、mΩ~GΩ、と12桁もの幅があります。
今回は、その中で、1GΩの抵抗を使った際の経験をお話したいと思います。
②経験談
かつて、微少電流検出回路の検討・試作を依頼されたことがありました。入力は、最大1nA程度の微少電流です。電流電圧変換をしてしまえば、後段のアンプは容易に作れますので、1nAを1Vとする、トランスインピーダンスゲイン1GΩのIV変換回路を組むことにしました。基本回路は、フォトダイオード受光回路でよく使われる、オペアンプ+帰還抵抗1本のシンプルな回路ですが、部品選定がポイントとなります。
微少電流を扱う回路ですから、入力部分のガードリングは必須ですし、部品などの取り扱いにも注意が必要です。素手でベタベタ触るなど、もってのほかです。リーク電流の原因となります。
無事に組み上げて、一通りのチェックを済ませ、入力オープンの状態で、電源を投入しました。出力をオシロで観察すると、0Vで一定、変なノイズ、フラツキもなく、一安心でした。
さて、動作確認しようと思いましたが、手元に1nA以下の可変電流源などありません。ですが、手元に1GΩの抵抗器があることに気がつきました。1Vの電圧源から1GΩを介して入力端に接続すれば、1nAを入力できます。可変電圧源、信号発生器はありましたから、入出力特性を調べることができました。
ここで気がついたのですが、この測定系の1GΩを含めた回路は、ゲイン1の反転アンプです。ただし、ゲイン抵抗、帰還抵抗ともに1GΩです。なんと、入力インピーダンス1GΩの反転アンプが実現できるのです。
ここまでは、基板の入力端に直接、1GΩの抵抗器を半田付けして、動作を確認していました。しかし、実使用では、シールドケーブルを介して、信号電流源に接続します。回路上の対策はしてありましたが、その妥当性を確認する必要があります。
依頼先からは、特殊なものと思われるコネクタとシールドケーブルが支給されていましたが、まずは、手近にあった、一般的なシールドケーブルを使いました。そっと静かにしておけば、動作に問題はありませんでしたが、ケーブルを「揺らす、曲げる」などすると、出力が「ふらふら」と揺れました。意図せずして、変形センサーを開発してしまいました。
摩擦によって静電気が起きるのか、静電容量の変化によるのか、原因究明は困難ですが、一般的なシールドケーブルを変形させるとノイズが発生することがあるようです。
支給品のシールドケーブル、コネクタを実装したところ、この現象は現れませんでしたので、やはり、ただ者ではなかったようです。

今回のまとめ
せっかく、微少電流計があるのですから、いろいろな部品のリーク電流を調べてみましたので、ひとつ紹介しておきます。
手近にあった、リードタイプのセラミックコンデンサ(22 pF~100pF)を接続、1Vを加えると、ふらふらと揺らぐリーク電流が観察できました。コンデンサの絶縁抵抗の規格として、「1000MΩ以上」「10000MΩ以上」などの表現を見かけますので、妥当な結果と思われます。
次回も、引き続き、経験談をお話する予定ですが、取り上げて欲しいテーマがございましたら、ご連絡いただけましたら幸いに存じます。

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