
電気・電子回路における非線形回路 -ログアンプ(1)-
①はじめに
前回の経験談のなかに、電圧制御可変ゲインアンプ、アナログ掛算器が登場しましたが、その当時から現在に至るまで、私は、これらの非線形回路にまともに取り組んだことがありませんでした。そこで、数回にわたって、シミュレーションによる動作原理の確認をしようと思います。今回は、ログアンプを取り上げます。
②非線形回路
PN接合ダイオードの順方向電圧Vfと順方向電流Ifの関係は、指数関数となっていることはご存じだと思います。バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧VBEとコレクタ電流Icの関係も同じく指数関数です。電流と電圧の関係としてみると、対数関数となります。
そこで、ダイオードの基本特性を確認してみます。
ダイオード_電圧電流特性
シミュレーション
シミュレーションファイル「ダイオード_電圧電流特性.asc」を参照してください。
使っているダイオード、トランジスタはともに、小信号汎用の一般的なものです。
印加する電圧範囲は0V~0.65Vとしました。時間軸は、電圧を直読しやすい設定としています。電流値を観察するには、ダイオード電流I(D1)ならば、ダイオードのシンボル上にカーソルを合わせ、カーソルを電流プローブの形にして、左クリックします。コレクタ電流Ic(Q1)ならば、カーソルをコレクタ端子部分に合わせて同様にします。
通常の縦軸は、リニアですので、指数関数特性かどうか、判別しようがないのですが、対数目盛にすると、きれいな直線部分が確認でき、この範囲では指数関数となっていると判断できます。対数目盛にするには、カーソルを縦軸の数値表示領域に合わせ、カーソル形状を定規形にして右クリック、縦軸の設定画面を表示し、「Logarithmic」チェックを入れて「OK」をクリックします。
ダイオード_電流電圧特性
シミュレーション
シミュレーションファイル「ダイオード_電流電圧特性.asc」を参照してください。
入力電流範囲は、0mA~1mAとしました。時間軸は、電流を直読しやすい設定としています。こちらも、リニアな目盛りでは、特性が判然としませんが、横軸を対数目盛とすれば、直線部分が見えてきます。かなりの広範囲で、リニアな入力電流に対して、出力電圧は対数となっているようです。
ログアンプ
シミュレーション
シミュレーションファイル「ログアンプ.asc」を参照してください。
ログアンプを構成するには、入力電圧に比例する電流をダイオードに流す必要がありますが、オペアンプを使えば、容易に実現できます。シミュレーション回路を見てください。抵抗1本とダイオード(またはトランジスタ)、オペアンプ(理想オペアンプ)だけで構成されています。
この回路は、反転アンプ基本回路の帰還抵抗をダイオードに置き換えた回路と考えれば、動作を理解しやすいと思います。反転アンプと同様、入力側から流れ込む電流(=入力電圧/入力抵抗)はすべて帰還要素(ダイオード、またはトランジスタのコレクタ)に流れますから、出力電圧は、-Vf(または-VBE)となります。シミュレーション回路では、入力抵抗を10KΩとしていますので、0V~10Vの入力電圧で、0mA~1mAの電流をダイオード(またはトランジスタのコレクタ)に流しています。横軸を対数目盛として、直線部分(対数特性)を確認してください。なお、入力が小さい領域で特性が乱れていますが、動作原理の確認が目的ですので、記憶に留めるくらいでよいでしょう。
今回のまとめ
次回も、ログアンプについて、引き続き取り上げる予定です。
今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、アナログ・デバイセズのサイトよりLTspiceをダウンロードしてご利用下さい。

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