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第129回:電気・電子回路における電源回路の基礎 -ツェナーダイオード-

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第129回:電気・電子回路における電源回路の基礎 -ツェナーダイオード-

電気・電子回路における電源回路の基礎 -ツェナーダイオード-

①はじめに

今回から、電子回路用の小電力、低電圧の電源回路をテーマとして取り上げますが、主として、電源回路に不慣れなビギナーを想定して、基礎的な動作原理などを解説する予定です。

今日では、「3端子」と呼称されるレギュレータICなど、多種多様な電源ICが供給されており、簡便に使うことができますが、最も簡単な定電圧電源回路は、ツェナーダイオードと抵抗1本を使った回路でしょう。回路特性、適用範囲は限られますが、シャントタイプのリニアレギュレータの基本的考え方を理解するには十分であると思います。

②ツェナーダイオード

基本特性

ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)は、カソードからアノードに電流を流して使います。電流が流れている時の両端の電圧(ツェナー電圧)が一定となる特性を持っていますので、定電圧電源回路、あるいは、基準電圧回路が構成できます。

シミュレーション

シミュレーションファイル「ツェナーダイオード基本特性例.asc」を参照してください。

使っているツェナーダイオードの仕様は、許容損失:150mW、ツェナー電流5mA時のツェナー電圧:Typ.6.2Vであり、汎用的なものと思われます。電圧降下用抵抗の値1KΩは、入力電圧24V時に規定ツェナー電流の3倍程度が流れる値として、きりの良い1KΩを選んでいます。

入力電圧Vin、出力電圧Vout、ツェナーダイオード電流I(D1)を見てください。(ツェナーダイオード電流を表示させるには、回路図のツェナーダイオードのシンボル上にカーソルを合わせて、カーソルが電流プローブに変わった状態で左クリックします。電流値はマイナス表示となりますので、注意してください。)

入力電圧Vinがツェナー電圧(6.2V)以下では、ツェナーダイオードに電流は流れず、出力電圧Voutは、入力と同じですが、ツェナー電圧を越えるとツェナーダイオードに電流が流れ始め、出力電圧はツェナー電圧(6.2V)で一定となります。入力電圧がツェナー電圧以上の領域では、「入力電圧の上昇分に比例してツェナーダイオード電流が増加し、抵抗による電圧降下を増加させて、入力電圧の増加分を相殺している」と考えることもできます。

なお、ツェナーダイオード電流が増加するにつれて、出力電圧のわずかな増加が見られますが、この特性を定電圧特性として十分かどうかは、回路に対する要求次第ですので、ここでは定電圧特性と見做して扱います。

負荷変動特性

シミュレーション

シミュレーションファイル「ツェナーダイオード負荷変動特性例.asc」を参照してください。

前述した回路と同じ定数の定電圧電源回路に負荷を接続し、負荷電流を0~10mAまで変化させています。入力電圧Vinは12V固定です。

負荷電流が0mAのとき、ツェナーダイオードには、約5.8mAの電流が流れています。負荷電流が増加するにつれ、ツェナーダイオード電流が減少していきますが、負荷電流が約5.8mAとなり、ツェナーダイオード電流が0mAになるまでは、出力電圧は一定に保たれています。それを越えると定電圧特性は失われてしまいます。

この特性から、「定電圧電源としての最大負荷電流は、無負荷状態のときにツェナーダイオードに流れている電流値に等しい」ことがわかります。設計手順的に考えるならば、「無負荷時のツェナーダイオード電流を、目標とする最大負荷電流に等しくするように抵抗値を選択する」となります。

今回のまとめ

シミュレーション

シミュレーションファイル「ツェナーダイオード負荷変動特性例_2.asc」を参照してください。

電圧降下用抵抗の値を変えた回路を収めてありますので、負荷電流特性の違いを観察してみてください。できれば、最大負荷電流の目標値を定めて、それを実現する抵抗値を計算し、シミュレーションで確認してみてください。

次回は、シリーズタイプのリニアレギュレータを取り上げる予定です。

今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、アナログ・デバイセズのサイトよりLTspiceをダウンロードしてご利用下さい。

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