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水晶振動子とは?原理や役割、用途について解説

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水晶振動子とは?原理や役割、用途について解説

水晶振動子とは、水晶の圧電効果を利用して、高い周波数精度の発振を起こす際に用いられる受動素子の一つです。
高い周波数精度と安定性を持ち、比較的コストパフォーマンスに優れている部品であるため、さまざまな用途に対応します。

製品の開発・製造コストを抑えるために、水晶振動子の採用を検討していらっしゃる企業様も多いのではないでしょうか?

本コラムでは、水晶振動子の原理や役割、用途、種類について解説いたします。

水晶振動子とは

水晶振動子とは、水晶の圧電効果を利用して、高い周波数精度の発振を起こす際に用いられる受動素子(部品)の一つです。クォーツ時計や無線通信、コンピューターなど、現代のエレクトロニクスには欠かせません。

水晶とは

水晶とは、二酸化ケイ素が結晶してできた鉱物のことで、石英とも呼ばれます。
水晶には、自然環境下で長い年月をかけて形成された天然の水晶と、人工的に結晶化させた人工の水晶とがあります。天然の水晶は装飾品やパワーストーンとして、人工の水晶は電子部品や工業製品として用いられることが多いです。

人工水晶には、結晶構造が規則的で、内包物(クラック)が少ないという特徴があります。
なお、水晶を使用した電子部品を水晶デバイスといい、電子機器に欠かせない存在であることから“産業の塩”と呼ばれています。水晶振動子は水晶デバイスのカテゴリの一つです。

振動子とは

振動子とは、簡単にいうと振動を行う物体のことです。水晶や一部のセラミックのように圧電効果をもつ振動片を利用した受動部品を指します。

水晶振動子の原理

水晶振動子の原理は、水晶の圧電効果を利用しています。

圧電効果とは

圧電効果とは、水晶や一部のセラミックなどに圧力を加えると、変形してひずみが生じ、これに応じて電圧が発生する現象を指します。

圧電効果の身近な例を挙げると、ガスコンロやライターの点火装置などがあります。

水晶の薄板に圧力を加えると、薄板の両面にプラス、マイナスの電気が生じます。これを利用しています。

なお、水晶や一部のセラミックなどに対して、逆に電圧をかけると変形します。これを、逆圧電効果と呼びます。

水晶振動子の役割

水晶振動子は、電子機器の内部で次の2つの役割を果たします。

安定した周波数を維持

たとえば、スマートフォンは、基地局と無線通信を行うことで通話やデータ通信を行っています。このとき、スマートフォンと基地局は同じ周波数を使って通信を行います。
もし、スマートフォンの周波数が安定していなければ、基地局とうまく通信することができず、混線が発生する可能性があります。

水晶振動子は、温度変化や圧力変化に対して比較的不感であり、周波数の安定性が非常に高いです。これにより、環境条件の変化に関わらず、一貫したタイミングや周波数を提供できます。

規則正しい基準信号を作り出す

水晶振動子は、電流を供給することで水晶を振動させ、定期的な信号を生成します。
また、温度変化や圧力変化に対して安定性を保ち、環境条件の変化に関わらず、信号の品質と安定性を維持できます。
このため、規則正しい基準信号を作り出すことが可能です。

たとえば、スマートフォンの場合、1台の中に異なる役割を持つ複数の水晶振動子が使われています。これらが連動して働く場合、うまくタイミングを合わせなければならないため、前提として、個々の水晶振動子が常に規則正しい基準信号を作り出す必要があります。

水晶振動子の用途

水晶振動子は、その高い周波数精度と安定性から、さまざまな電子機器に使用されています。
主な用途は、以下の通りです。

クォーツ時計

水晶振動子は、クォーツ時計の心臓部です。水晶振動子によって生成された基準信号が、秒針や分針の動作を制御しています。水晶振動子により時計の時間精度が高くなります。

通信機器

スマートフォンや無線LAN、衛星通信といった通信機器では、水晶振動子によって生成された基準信号が、データの送受信を同期させるために使用されています。これにより、データの誤送信や遅延を防ぐことができます。

コンピューター

パソコンなどのコンピューターでは、水晶振動子によって生成された基準信号が、CPUの動作を制御するために使用されています。こうして、コンピューターの動作を安定させ、処理速度を向上させることができています。

音楽プレーヤー

音楽プレーヤーでは、水晶振動子によって生成された基準信号が、音声信号の再生を制御するために使用されています。これにより、音声を正確に再生することができています。

テレビ

テレビでは、水晶振動子によって生成された基準信号が、映像信号の再生を制御するために活用されています。こうして、映像を正確に再生することができています。

カメラ

カメラでは、水晶振動子によって生成された基準信号が、シャッタースピードや露出を制御するために使用されています。これにより、高画質な画像を撮影することができます。

計測器

周波数計やオシロスコープ、校正器といった計測器では、水晶振動子によって生成された基準信号が、正確に測定するために使用されています。

産業機器

産業ロボットや製造機械、制御装置などの産業機器では、水晶振動子によって生成された基準信号が、さまざまな動作制御に活用されています。

水晶振動子の種類

水晶振動子には「音叉型水晶振動子」と「AT振動子」の2種類があります。
この2つの大きな違いは、振動モードと周波数帯域です。

AT振動子

水晶振動子で最も市場に出回っているのがAT振動子です。
AT振動子とは、人工水晶をZ軸から35°15′の角度で切り出した水晶振動子です。振動モードは厚みすべり振動と呼ばれ、周波数帯域は800kHz~300MHzです。
主な用途は、メインクロックです。

音叉型水晶振動子

音叉型水晶振動子とは、その名の通り音叉の形をした水晶振動子で、電流が流れると周波数を発振します。
振動モードは、音叉型振動や屈曲振動と呼ばれ、周波数帯域は、32.768kHzです。
主な用途は、時計機能やサブクロックなどです。

まとめ

水晶振動子とは、水晶の圧電効果を利用して一定の周波数を発振させるための素子で、一定の周波数を発振させたり、周波数を安定させたりする役割を持ち、電子機器の動作に欠かせない重要な部品です。

5G通信の進展や自動車の電子化・高機能化、製造技術の進歩などの影響もあり、水晶振動子の将来性は非常に明るいといえます。求める周波数などから、最適な水晶振動子を選びましょう。

オリナスでは、さまざまな水晶振動子を取り揃えております。従来品からの代替をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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