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オペアンプとは?種類・分類や選び方について解説

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オペアンプとは?種類・分類や選び方について解説

オペアンプ(operational amplifier)とは、電子回路内で信号を増幅するために使用される半導体デバイスのことで、日本語では「演算増幅器」と訳されます。
アナログコンピュータでのアナログ演算(加算・減算・微分・積分)も可能で、製造業をはじめとする多くの産業で活用されています。

電子回路の設計は多くの場合、複雑で繊細なバランスを必要とします。オペアンプ一つを選ぶだけでも、多方面からの知識と経験が要求されます。
そこで本コラムでは、オペアンプの基本から選び方までを、幅広くご紹介いたします。

オペアンプとは

オペアンプ(operational amplifier)とは、電子回路内で信号を増幅するために使用される半導体デバイスのことで、日本語では「演算増幅器」と訳されます。入力された微弱な信号を、より大きな電圧信号へと変換します。これにより、さまざまな電子機器の信号処理が可能になります。

非反転入力と反転入力の間に生じる電圧差に基づいて出力信号が生成される仕組みを用いて、入力された信号の差を増幅しています。

オペアンプはノイズ除去や信号の整形にも利用されます。信号から不要なノイズを取り除くことで、クリアな信号のみを増幅することが可能です。
また、アナログコンピュータでのアナログ演算(加算・減算・微分・積分)も可能です。

電子回路において不可欠な部品の一つであり、製造業を始めとする多種多様な産業で広く活用され、製品の性能向上に貢献しています。

オペアンプの種類・分類

オペアンプにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。
これらを理解することで、用途に合った適切なオペアンプを選択することができます。

汎用型

最も一般的なオペアンプであり、さまざまな用途に使用されるのが「汎用型」です。
基本的な増幅、フィルタリング、積分、微分などの用途に適しており、シンプルな回路から複雑なアプリケーションまで、幅広く使用されます。
比較的、安価で、入手しやすい点も特長の一つです。

単電源型

「単電源型」のオペアンプとは、一つの電源電圧のみで動作するオペアンプです。
従来のオペアンプが正と負の両方の電源を必要とするのに対し、単電源型オペアンプはプラスの電源とグランド(0V)のみで動作します。
この特性により、バッテリ駆動のポータブルデバイスや、電源設計を簡素化したいアプリケーションに利用されています。

高速型

「高速型」のオペアンプは、高周波数の信号を正確に処理する能力に特化して設計されています。
特に、ビデオ処理や高速データ通信、高周波数のセンサ信号処理、オーディオおよびRF(無線周波数)アプリケーションなど、迅速な信号応答が求められる場面で使用されています。

高精度型

「高精度型」のオペアンプは、精密な測定や高品質な信号処理が求められる用途に適しています。高い精度と安定性を提供するため、医療機器や測定機器など、要求仕様が厳しい分野で利用されています。

高精度型オペアンプを選択する際には、入力オフセット電圧、入力バイアス電流、温度係数などのスペックを慎重に確認する必要があります。これらの指標が性能に直接、影響を与えるためです。

低オフセット

「低オフセット」のオペアンプは、入力端子間にほとんど、または全く差がない場合でも、極めて小さい出力オフセット電圧を持つよう設計されています。

なお、オフセット電圧とは、オペアンプの非反転入力と反転入力の間に理想的には存在しないはずの微小な差電圧を指し、この差電圧がゼロでないために出力に誤差が生じる原因となります。
低オフセットオペアンプは、この出力オフセット電圧を最小限に抑えることで、高精度な信号処理を実現しています。

低雑音型

「低雑音型」のオペアンプは、内部的に生成される雑音が非常に少ないため、信号を増幅する際に発生するノイズの影響を最小限に抑えることができます。このため、特に信号処理の初期段階で非常に重要な役割を果たします。

音響機器、高感度センサ、医療機器、測定器など、クリアな信号を要求される高精度アプリケーションで広く使用されています。

低消費電力型

「低消費電力型」のオペアンプは、動作中の電力消費を最小限に抑えるように設計されています。省エネルギを実現しつつ、必要な性能と機能を提供するために、特に電力効率の良い設計が施されているのです。

このため、特にバッテリ駆動のポータブル機器や、エネルギ効率が重視されるアプリケーションでの使用に適しています。

高出力型

「高出力型」のオペアンプは、一般的なオペアンプよりもはるかに高い出力電流や出力電圧を提供できるように設計されており、大きな負荷を駆動する能力を持っています。

このため、重い負荷を直接駆動する必要があるアプリケーションや、高電力が必要な場合に使用されます。ヘッドフォンやスピーカーなどのオーディオ機器、さらにはモータなどの電力を多く消費する負荷を直接駆動することができます。

オペアンプの選び方

高品質な製品を市場に提供するためにも、適切なオペアンプを選ぶことが重要です。
そして、オペアンプを選ぶ際には、スペックや指標を考慮する必要があります。
たとえば、動作電圧や消費電流、帯域幅、入力オフセット電圧などのスペックが、使用する回路の要件を満たしているかを確認しましょう。

動作電圧

動作電圧とは、オペアンプが安定して機能するための電圧範囲を示します。
製品の設計において、使用される電源電圧とオペアンプの動作電圧範囲が一致していることを確認する必要があります。電圧範囲外で使用した場合、オペアンプは正常に機能せず、信号の歪みや損傷の原因となる可能性があります。

作動入力電圧

作動入力電圧とは、オペアンプが受け入れることができる信号の電圧範囲のことです。
この範囲を超える信号を入力すると、オペアンプの性能が低下したり、破損したりする恐れがあります。したがって、使用する信号の電圧がオペアンプの作動入力電圧範囲内にあることを確認することが大切です。

同相入力電圧

同相入力電圧とは、オペアンプの非反転入力と反転入力に同時に加えられる電圧の範囲を指します。
この範囲内でオペアンプを使用することで、最適な性能を得ることができます。

消費電流

消費電流とは、オペアンプの動作中に消費される電流の量のことです。
消費電流は、電源の容量やエネルギ効率の観点から考慮する必要があります。
特に、低消費電力を要求されるアプリケーションでは、消費電流の少ないオペアンプの選択が重要になります。電力消費を抑えることで、バッテリ駆動の機器の動作時間を延ばすことが可能になります。

増幅度

増幅度とは、オペアンプが信号をどの程度増幅できるかを示す指標です。
アプリケーションに必要な増幅度を満たすオペアンプを選択することが重要です。増幅度が高いオペアンプは、より微弱な信号を扱うことができますが、同時にノイズの影響を受けやすくなる場合もあります。

オフセット電圧

オフセット電圧とは、入力端子に何も接続していないときに出力される電圧のことです。
理想的なオペアンプではこの値はゼロですが、実際には微小な電圧が存在します。高精度が要求されるアプリケーションでは、オフセット電圧の小さいオペアンプを選択することが望ましいです。

利得帯域幅積(GBW)

GBWは、オペアンプがどれだけ高い周波数で信号を増幅できるかを示します。具体的には、オペアンプの利得(増幅率)とその利得が実現可能な最大周波数の積です。
アプリケーションで必要とされる利得(Gain)と周波数帯域(Bandwidth)を決定した上で、必要なGBW(必要な利得と最大周波数の積)を計算します。

スルーレート(SR)

スルーレートとは、オペアンプの出力が一定の変化をする際に、その変化速度を示す指標です。具体的には、オペアンプの出力電圧が1マイクロ秒あたりにどれだけ変化するかを表します。単位は通常、V/μs(ボルト毎マイクロ秒)です。
アプリケーションの周波数が高いほど、スルーレートの高いオペアンプが必要となります。

これらの要素を総合的に考慮して、最適なオペアンプを選択しましょう。

まとめ

オペアンプは、電子回路設計における重要なコンポーネントであり、製品の性能と信頼性を大きく左右します。

オペアンプを選択する際は、まずその用途を明確にし、求められる性能指標を理解する必要があります。その上で、ご紹介してきたような各種要素を慎重に検討し、最適なオペアンプを選択することが重要です。

具体的には、動作電圧や作動入力電圧、同相入力電圧、消費電流、増幅度、オフセット電圧など、多くの要因が関係しています。これらの要素を適切に考慮し、用途に最適なオペアンプを選択することで、電子機器の性能を最大限に引き出すことができるでしょう。

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