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第103回:電気・電子回路におけるオペアンプ応用回路 -2線式双方向信号伝送-

トピックス:(2019/03/25)

電気・電子回路におけるオペアンプ応用回路 -2線式双方向信号伝送-

①はじめに

電気信号を伝えるには、2本の電導線が必要です。従って、2つの機器、あるいは、基板の間で、双方向に信号を伝送するためには、4本の配線を使うことになります。不平衡信号で、グランドを共通にできる場合であれば、3線で済ますことはできますが、2線にまで減らすのは、普通の回路では困難です。

ところで、電話機は、2線で送話/受話が可能です。何か「巧妙な仕組み」があるに違いないのですが、ここでは、電話機の内容には立ち入らずに、2線で双方向の信号伝送をする回路を考えてみたいと思います。

②2線式双方向信号伝送について

【信号出力回路】

2つの電圧出力が共に同じ信号線を駆動するのですから、出力抵抗を挿入するしかないでしょう。これによって、2つの信号の抵抗加算回路を構成しますので、信号線には、2つの信号の加算合成電圧が現れることになります。

<シミュレーション>

シミュレーションファイル「2出力信号合成.asc」を参照してください。Vsig_1は、1V振幅の正弦波、Vsig_2は、0~1Vの矩形波で、それぞれ、10KΩの出力抵抗Ro1、Ro2を介してI/Oラインに接続されています。

サンプルファイル

V_I/O_Lineを見てください。0~2msは、Vsig_1のみ、2~4msは、Vsig_1とVsig_2の加算合成、4~6msは、Vsig_2のみの電圧となっています。また、I/Oラインでの信号振幅は、Vsig_1、Vsig_2ともに半分の0.5Vとなっています。これは、同じ抵抗値の加算回路ですから、当然の結果です。

【信号入力回路】

I/Oラインから入力するために、非反転アンプ(バッファアンプ)を接続します。非反転アンプは、入力インピーダンスが高いため、抵抗加算回路の演算結果には影響しませんから、アンプのゲインを2倍に設定すれば、元の信号振幅に復元することができます。

<シミュレーション>

シミュレーションファイル「双方向信号伝送_振幅復元.asc」を参照してください。理想オペアンプを使って、ゲイン2倍の非反転アンプを構成し、I/Oラインに接続しています。Vout_1、Vout_2は、元の1V振幅の信号となっていることを確認してください。ただし、Vsig_1、Vsig_2が同時に出力されている期間では、両方の信号が混在したままです。

サンプルファイル

【不要信号除去回路】

加算合成信号(Vsig_1+Vsig_2)が得られていますから、この信号から不要信号成分を「減算」すれば、目的の信号のみを取り出すことができます。このためには、差動アンプを使います。

<シミュレーション>

シミュレーションファイル「双方向信号伝送_不要信号除去.asc」を参照してください。理想オペアンプを使って、ゲイン1倍の差動アンプを構成し、加算合成信号を非反転入力端に、不要信号を反転入力端に、それぞれ入力することで、以下の減算を実現しています。

サンプルファイル

Vout_1=(Vsig_1+Vsig_2)-Vsig_1=Vsig_2

Vout_2=(Vsig_1+Vsig_2)-Vsig_2=Vsig_1

<シミュレーション>

シミュレーションファイル「双方向信号伝送_オペアンプ回路例.asc」には、実際のオペアンプを使った回路例を収めてあります。理想オペアンプを現実のオペアンプICに置き換えただけの回路です。あくまでも、動作原理の理解を主眼とした回路例ですので、実用設計とは言い難いことに留意してください。

サンプルファイル

③今回のまとめ

双方向信号伝送について、さらに進んだテーマとしては、「平衡信号の伝送」、「寄生要素を含む伝送線の電気的特性の影響」などが考えられますが、かなり高度な内容と思われますので、取り上げるかどうかは検討中です。

次回は、オペアンプによる位相回路について取り上げてみたいと思います。

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今回取り上げましたサンプルファイルを使うには、アナログ・デバイセズのサイトよりLTspiceをダウンロードしてご利用下さい。

 
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